Cotton Candy【ベリカ限定】
「待ってる」


雅は笑顔で言うと、あたしに背中を向けた。


彼が、一段ずつ階段を降りて行く。


少しずつ遠ざかっていく雅を追い掛けて、抱き締めたくて堪らなかった。


だけど…


今はまだ、彼の後を追わない。


この想いを絶対に揺るがせないくらいの強さを持てたら、雅を追い掛ける。


待ってて……


心の中でそう呟いたあたしは、階段を降りていく雅の姿が見えなくなるまで、彼の背中を真っ直ぐ見つめていた。


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