星の奇跡
はじまり
夏の暑い日、あつしは必死に自転車をこいでいた。

そんなに急がなくても待ち合わせの時間には十分に間に合うのに、夏の暑さを楽しむかのように夏の陽射しを浴びながら自転車をこぎ続けていた。

急な坂を下り、古い家が立ち並ぶ住宅街に入るとスピードを緩め汗を拭って空を見上げた。

昨日まで梅雨でじめじめしていた天気とは思えないほど空は快晴で雲ひとつない空だった。

あつしは爽やかな風を感じ暑い太陽へ微笑みかけながら康平の待つ家までゆっくりとスピードを落としながら進んだ。

近くのどぶ川には小さな魚が窮屈そうに泳いでいるのが見え、公園ではDSを持った小学生達がゲームに夢中になっている。

おかしな世の中になってきたなと感じながらさらに曲がりくねった道を進み、背中には流れる汗を感じながらまた自転車のスピードをあげ最後の直線をおもいっきりこいだ。
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