帰宅部全国大会

本を閉じると顔を上げた。


最初に先輩を見つめて、次に俺へ視線を投げる。こっち見んな。


「こいつが破壊神の飼い犬か。番犬にしちゃ少し頼りない感じだな」


むっとしたが、この程度の挑発で逆切れするほど煽り耐性は低くない。


それに頼りないのは重々承知だ。俺が先輩の足を引っ張ってるのは、悔しいけど事実なわけだし。


ちょっとしょんぼり。自己嫌悪。


と、先輩が俺の肩をポンッと叩くと、優しい笑みを浮かべながら奴に向かってこう言い放った。


「彼は飼い主の後を追いかける犬ではない。私の隣に立つ大切なパートナーだ」


「先輩……」


なんかそれ、違った角度から見たらプロポーズっすよね? 恋人宣言っすよね?


とまあ冗談は置いといて、先輩の言葉に感動したのは本当だ。


お世辞だってことはわかってる。足手まといということも自覚してる。
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