明日目が覚めたら

「はい、実は一昨晩のことでございます。

 私が姫の寝室の護衛をとお部屋に向かおうとした時のことです。

 王妃様が、困ったことがあるので来てほしいと呼びとめられまして、

 私も、滞在させていただくのですからお手伝いぐらいをと

 軽い気持ちで付いて行ったのです、

 昨晩、姫も連れられて来られた南門守衛室です。」


「待って、あの時あなたは倒れていたわ。なぜそれがわかるの?」


「はい、仕組みは良く判りません。

 たぶん、意識が縛られて動けなくなっているという感覚です。

 目の前で起きていること、させられていること、

 すべて見えているし、聞こえているし、感じているのです。」


「つまり、おとといの夜、私の部屋に現われたのは

 サンドラだったっていうこと?」


「はい。私の中で誰かが命じたのです。姫様の首を絞めて殺せと。

 今思うと王妃様の声かと思います。」


「それを実行しなかったのは何故?」


「はい、それだけは、出来ないと必死で身体を止めようとしました。

 上手くいったわけではありませんでしたが、

 王妃様の思うようにもならなかったようです。」


「それで…」


「姫様が私に声を掛けられましたね。

 それを合図にするように力が抜けて

 気がつくと南門へと戻ってしまっていました。」




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