オレンジ・ドロップ
紹介だけでないでしょ?
そろそろ本当の目的を明かしてよ
「でね、サヤを連れてきたのはもう一つ理由があるの」
「さっきも言ったけど、私合唱部なら入らないよ。もう、演劇部に入部してるんだから」
「うん♪ でも土曜日は空いてるでしょ?」
「空いているけど、土曜日くらい早く帰り……」
「空いているなら決まりね」
勝手に決めないでよ
彼女は最後まで話を聞かず勝手に事を進める
「ハイ、これ入部用紙ね」
「……」
って貴方は部長ですか?
彼女はもう一度ニッコリ用紙を私に向ける
負けました
彼女にこんなパワーあったっけ?
周りで見ていた鎌田さん、先輩方も呆気に取られている
彼女はそんなの関係なしって感じだ
先輩に聞くと部員が少なくて困っていたんだって
『誰か入部してくれる人いないかなぁ?』って話をしていた時、カミッチは私を浮かんだんだって
「で?何で私なわけ?」
「前に北村先生が合唱部に引き抜こうとしてたでしょ?」
「何で知ってるの?」
「だって、私合唱部だったからその場にいたんだよ」
「あれ?そうだった? 全然気が付かなかったわ」
「その頃はまだあまり親しくは無かったからね」