オレンジ・ドロップ

浄化


 事務室を出るなり皆は口々に言う


 「社長、何が言いたかったんだろうね?」

 「煙、臭かったね~」

 「時間の無駄だよね?」


 心の奥に閉じ込めていた全てのものを思いだし、ただ涙が零れそうだった

 皆に気がつかれないよう必死にくいしばる


 「ごめん、先行くわ」


 それだけ言って、足早にその場から立ち去った


 休憩時間 残り10分

 奥の部屋へ行き、静かに一人涙を流していた


 しばらくして、皆も戻って来たのか? 扉の向こうで声がする


 「あれ? ミッキーは?」


 「トイレじゃない? 先に戻っているはずだし」


 「私今トイレから出て来たけど、誰もいなかったよ」


 「もうすぐ休憩終わるのに、何処行ったんだろうね?」


 皆の言葉を扉越しに聞く

 ごめん、今は出られません 

 心で呟いた


 「もしかして……?」

 なっちゃんはそう言ったかと思うと、私がいる奥の部屋の扉を開けた




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