喰われにきたって、いいなよ

振り返った目に映る、

ドアにすがるように崩れる体。


支えようと駆け寄るけれど、

案の定一緒にへたり込んだ。



ーー冷たい……



それは尋常じゃない汗のせい。

でも、

じんわりと伝わってくる体温は、

信じられないほど熱くて……



「ごめんなさい、ごめんなさいっ」



一粒零れ落ちると、

涙はもう止まらなかった。


私のミスのせいで、

彼はこの一週間不眠不休のはずだ。



「なんだ、謝罪かよ……」



心底つまらなそうに呟くと、

彼はそんなもんイラねぇと、

顔を反らす。



「帰れよ……」



かすれた声に胸が熱くなる。

だって、酷く辛そうだ。


必死に首を横に振るけれど、

まるで通じなくて……



「早く帰れっ!!」



冷静な彼から、

聞いた事もない怒鳴り声に体が跳ねる。


私は、

もお、

どおしていいのか分からなくて、



「ぃ…いヤ……ですっ!」



咄嗟に、


ギュッ……


彼にしがみついた。

はずだった。

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