片想いだったね
「重くない?」
「コレで重いならまた景子にヤキ入るって~。」
「ヤキ入ったわけじゃないもん。」
「ですよね~。」
バス停までのルートはけっこう交通量が多いけど、自転車で私までの家なら川原にある車が通らない道を通って行くから、とても静かだ。
薄暗い空の下を翼と二人乗りなんて、
まして今日はバレンタイン。
急に思い出してまた恥ずかしくなる。
「翼の家どこ?」
「ん~、行きたいの~?」
「違うって!!」
「アハハ~全力否定~。残念ながら俺んチ〇〇町~。」
「は!?」
私の家と真逆どころか、学校を出る時点でほとんど帰る道が違う。
「翼ここで良い。」
「言うと思った~。でも止まらないよ~ん。」
「私家から翼家まで一時間かかるよ。」
「必殺立ち漕ぎで30分で帰ってみせるし~。」
「翼、本当良いから……。」
「なんだか知らない町を流してみたい~。」
「中1が言う台詞?しかも自転車っ!」
アハハハハっ!と少しだけしか掴めなかったセーターが、
なんか楽しくて、翼の腰とまでは行かないけど、さっきより手を回す。
寒さはやっぱり感じない。
なんでだろ。嬉しくて…かな。