片想いだったね


学校に朝早くに集合して、自分達の楽器を積んで学校が用意したバスに乗る。


それから揺られて二時間。


朝が早かったのに、部員の皆はほとんど寝ていない。私も隣に一緒に座っているまっすと、緊張をほぐすように会話が途切れることなく喋る。


そして予選会が行われる市の大きなホールに着き、様々な制服を着た他の中学校の生徒と、広い待ち合い室などで音の最終チェックをしていく。


自分の学校には無いテレビでしか見たこと楽器や、生徒数に威圧されてしまう。



緊張がおさまらない。



だけど自分の夢でもあった生まれて初めての大会なんだ。結果よりも、部員全員で挑戦に向かいたかったから。



出番が近づく。


緊張は更に増す。


まっすと無言で手を繋ぎながら自分達の出番を待ち、そして―――…




私達の学校が呼ばれる。






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