記憶 ―砂漠の花―


リオンさんは、
友人が生きていた事に喜び、
自らの謝罪に、
涙を流して嗚咽を漏らした。


「訳あってこんな姿だが、狼というのも本当だが…、今は幸せなんだ…、リオン。」

だから頭を上げてくれ、とキースは彼の肩をさすった。


キースが言っていた、『友人からの手紙』とは間違いなく、リオンさんからの物だろう。

25年もの長い歳月を、彼もまたこの記憶に苦しめられ、そして反乱軍という形で国と戦ってきたのだろう。
胸が熱くなった。


…良かった。

二人とも、本当に…
また出逢えて良かったね。


そう涙ながらに、肩を寄せ合って二人を見守る私とアズ。


その横で一人、人間としての感情が欠けているんじゃないかと疑うべき奴がいる。

アラン。


うーん…、と唇に手を当て、何やら考え込んでいる。

そして、口を開くと、

「マルク…って…」

と呟く。


それを耳にしたリオンさんも自分の顔を拭い、

「…すまん、すまん。話の途中だったな…」

と、鼻をすすった。



「そのマルクって奴はさ、30年くらい前にいきなり現れた?」

珍しく深刻な顔をしてアランは二人に聞く。

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