記憶 ―砂漠の花―

普段、感情を表に出さない父上だが、さすがの父上も話の詳細を聞き、動揺を隠し切れずにいた。

カルラ母上の生存、マルクの存在、リフィルの弟であるリオンさんとの対面、サザエルの未来…


『マルクが元凶と考えれば、それを排除し、サザエルを在るべき姿へ、と戻すのが正しい道だと思うが…。やはり、戦争に発展する事は避けたいのだ。』


国と国とが関われば、さらに今の状況では、戦争になってしまうかもしれない。

苦しむ人が増える。
悲しむ人が、増える。

修復した土地が、
修復した人の気持ちが、
国が、
変わってしまう。


『リオンさん、今この場、この状況で、快諾は出来ない。引き続き、身分を偽って核心に迫り、情報を集めた上で見定めよう。』

「私も国に関わる者、心中お察し致します。本来なら自国で解決すべき事、申し訳ない。大事なご子息達、お預かり致します。」

と、リオンさんは頭を下げた。


『いや、こちらもカルラが関わってくる。出来る限りの協力はさせていただきたいところなのだが…。シオン国にも私から話をしておくよ。』

出来る事なら、父上はこの場に駆けつけたいだろう。
1人の男として。

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