記憶 ―砂漠の花―

母上が、

「そんな…!」

と息を飲んだ。


「…アイリ、アズの命は助かったよ!!」

アランは明るく私の肩を叩いた。


「……?」

「アズも、ウィッチになっちゃったんだけどね…?しかも、アイリと同じ色!」


アズの命が助かったと言うアランは、先程までの深刻な表情とは打って変わって、普段の口調でそう話す。

アランの言っている事が、
私には全く理解出来ない。




ウィッチには、
心臓が二つある――。

一つが機能停止すれば、もう一つが動き出す。


アランは、そう説明した。


「…え…?」

何を言ってるの?アラン…


「それ…、初耳だし。でも、それとアズは関係ないじゃん。さっきまでウィッチじゃないのに…。」



――アズが生き返った。


嬉しいよ…
嬉しいに決まってる。


でも、
まだ裏を感じる…


本当じゃない気がする。
嘘なんじゃないか…

ぬか喜びするんじゃないか…



今、喜び…
歓喜に涙を流してしまえば、
信じてしまえば…


次の悲しみに、
私の心は…
もう耐えられない。


怖い…
こわい…



「…分かるように、説明して…、全てを。」

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