記憶 ―砂漠の花―


「アイリ…。貴女は…もしかしたら…」


…もしかしたら…?

何…?


母上が首を振り、
私に手を差し伸べた。


「私の手を…。私の記憶を見て来て…。」


もう一つの手を、アランの前に差し出す。


「アラン、貴方にも真実を知る…いいえ、『見る』権利があります。貴方も…」


私とアランは、
母上の手を取った。


…記憶を…?


「――見て来て…、過去を…!真実を。」


私たちは母上の両側で、互いに自らの力を膨らませた。

紅い魔力と、紫の魔力。


記憶の中に、

意識は堕ちていく―――



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