記憶 ―砂漠の花―


アランに連れ添われ談話室を入ると、すぐに父上と目が合った。


「…アイリ!」

父上は、私の立つ方へと早足で歩み寄る。
そして、私を抱き締めた。


「アイリ!今まで本当にすまなかった…。まさかお前が本当の娘だったとは…!辛い思いをさせたな。あぁ…、こんなに泣き腫らした目をして…!」


私は首だけ動かし、アランを見た。


『まさか…アズと私の事は…』

アランも私を見て肩をすくめる。


『――言えるわけないだろ…?言ってないよ。』

それを聞いて安心し、私も父上の背中に腕を回した。


私たちの想いを知らない父上と母上は、
『本当の娘だった』事だけに私がショックを受けている、と…
それ以上の想像は出来ないだろう。



『優しい父上の態度は、昔もこれからも変わりないでしょう?と伝えて。』


「あ~…、叔父様?アイリ泣き過ぎちゃって声枯らしちゃってて…。俺と『回線』つないでるから俺が代わりに申し上げますと…」

そう前置きした後に、私の言葉を繰り返した。


「……あぁ!もちろんだよ。声が枯れるまで…すまない、アイリ。」

父上が話す中、真実を知る先生を始めとする面々が、私の顔を見る。

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