デュッセルドルフの針金師たち前編
第1章 はじめに

プロローグ1

北陸福井駅前の西武デパート向かいの地下に、
”ファンファン”という古風なジャズ喫茶がある。

カウンターに2ボックスで京都のブルーノート風で
とても良い。ひげを生やした中年のマスターも渋い。

ここで2001年3月某日23年ぶりに学生時代の悪友
黒川明夫に再会した。

仕事で北陸出張の折ひょっとしたらと思い
電話帳をめくったら黒川明夫とあるではないか。

確か福井の出身だったはずだ、劇団何とかと書いてある。
まちがいない。奴はあの当時言ってた如く愚直に演劇活動を
続けていたのだ。少し興奮気味に電話をしてみた。
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