デュッセルドルフの針金師たち前編

車を買いにドイツへ

デンマーク郊外は山地もなくなだらかな平野が続く。
ビートルズやサイモンとガーファンクルはこちらでも全盛だ。
ヒッチハイクでハンブルグ行きの学生に乗せてもらった。

ウッドストックの映画が大ヒットしていて
この国境のプトガーデンという小さな町で、
ウッドストック並みの野外コンサートをやっていた。

”行こう行こう”ヒッチの学生と一緒に乗り込んだ。
入り口らしき森のゲートで10マルクを支払い、
腕にスタンプを押してもらって森の奥へと進む。

駐車場は森の中どこでも自由に。遠くでサウンドが聞こえる。
森が途切れ視界が開けて、だだっ広い芝広場へ出ると、
もう大勢の人人人。若者、ヒッピー、軍服、テント。

トップレスにマリファナの香り。夜通しのロックコンサートだ。
真夜中のジョーコッカーが最高によかった。
ここでマリファナを初めて吸った。

独特の甘い香りですぐ分かる。
その香りがすると順に回ってくるのだ。
みんなのまねをして吸う。

光と音だけがすこぶる敏感になってくる。
吸いすぎると体が鉛のように重たくなってきて、
こんな時に尿意を催すと大変だ。

とても立ち上がれない。トイレに行くまでに、
あっちに取りすがり、こっちに倒れこみ、
わずか数メートルが地獄道。

つい最近コペンでマリファナの吸いすぎで
大きな交通事故を起こした日本人がいたと聞いた。
ああくわばらくわばら、悪いものには手を出すな。

さてさてリューベック。ハンザ同盟で有名なこの町は、
西ドイツ北の町、あるはあるはドイツ車。
ベンツ、ワーゲン、BMW、オペル、ポルシェ、アウディ。

やはりドイツでもベンツは高くて手が出ない。
やっと買えてワーゲンビートル1200。$300。

片言の英語と数字とジェスチァで
相当古いワーゲン第一号を買った。

”イエローサブマリン”を口ずさみながら、
さあヨーロッパ一人旅の始まりだ。
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