冷血ボーイ
ー 付き合ってること秘密にしろって言った理由だって…っ
斜め下を向いて、何かに向かって睨んでいるようだった。
今でも壁を殴りそうな勢いで。
「理由…わかったの…?」
あたしたちが前から気になってたこと。
秘密にしろって言われてる理由…。
ー わかったけど……ほんとつまんねぇ理由だからさ…。
眉間のシワがだんだん深くなっていくのがわかって、泣きそうになった。
自分一人で、笠原さんのことも、お父さんのことも悩んでたのかな…?
気づかなくて…ごめんね。
何もできなくて…ごめんね。
あたしは心の中で強くそう思った。
「目、ウルウルしてる。……ひま、俺…」
そう言って、あたしの手をギュッと握った。