キス魔なあいつ
あたしとあいつの存在性





最後の授業も終了し、あたしは帰りの準備を始める。



百花は、例の彼氏と帰る予定らしいし。

あたしは、今夜の夕飯の材料の買い出しにでも悠を付き合わせて行こうか、なんて考えていた。


悠の顔を、なんとなく見たくないような気もしたけれど、そんなことは言ってられない。

なんせあいつは、あたしがいないと食事のひとつも出来ないのだから。

“死因は飢え死に”なんて、シャレにならない。



悠宛てのメールを作成する。

『 校門前にいて 』

たったこれだけのメールでも、いつも悠は“買い物”だと分かってくれるから、本当に気が楽だと思う。




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