遠山先生と愉快な1年B組
「大島と同じだよ。きっと水島先生、俺が好きで俺の氷砂糖を盗ったんだ」

「・・・へぇ。私が、遠山先生を慕ってると」

「そうそう・・・・あれ」

頷きながら教室の端を見ると、水島先生が腕を組んで立っていた。

しかもただ立っているわけではなく、少し怒っているようだった。

「あ・・いや。冗談ですよ。冗談」

慌てて、前言撤回する。

「そうだ!水島先生。氷砂糖知りません?」

「氷砂糖?」

「そうです!向井が無くしたらしくて」

本当は自分のだとはあえて言わない。
「氷砂糖・・・・あー・・・
それなら昨日の放課後に教室に放ってあったから、
職員室の私の机に置いてありますよ」

「ありがとうございます!!」


次の瞬間には遠山先生は教室にいなかった。
「遠山先生?」

かけた声も、もう届かない距離にいた。速い。

呆れたようにため息をつく水島先生の後ろで、向井が振り向いた。

「んじゃ、大島君。覚悟は出来た?」



向井の黒い笑顔が輝いた。




 ―終― 
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