僕らはみんな、生きている。
 さらにゆかりは、続けて言った。

「好きっていうのは、自分の何もかもを投げ打って何かすることじゃないよ、それだけじゃ苦痛になるでしょ?」

 秀司と別れたほうがいい、と言いたいのだろうか。
 なんだか説得されているように感じた。

 でも、好きになったら、自分が嫌な思いをするとわかっていても、それを受け入れてしまうってこと、あるんじゃないかな。


 私はね、秀司のほうが精神的に強いと思ってたんだよ。
 今、もしかしたら自分の弱くなった姿を見られるの、嫌かもしれない。だからこの状態は、実は負担になってるんじゃないかって、そう考えると私は離れるべきなんだよ。
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