地味子と地味男の秘密

なぜ・・・?...

 今、私は井龍に頭を撫でられている。

 さっきキスしてきたとき本当にびっくりした。

 あぁ、こんな軽々とキスをするんだって思った。

 最悪な人間だって思った。

 思った、思った・・・けど。

 なぜか井龍に触れられている頭が気持ちいい。

 離れたくないと思ってしまう。

 いつの間にか涙は止まっていた。

 「ごめん、ごめん、ごめん」

 さっきから井龍は『ごめん』と言っている。

 最初『ごめん』と言った時は一回で終わるだろうなと思っていた。

 でも井龍はさっきからやめない。

 なんかこっちが悪者みたいじゃん。

 「ごめん、ごめん、ご・・・・―――――」

 「もう、いいよ」

 「・・・・―――――め・・・え?」

 「だから!もう許してやる!!」

 なぜか簡単に許してしまった自分にびっくりする。
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