チョコレートトラップ
明日が卒業式ということもあって、

段取りをさらっと確認する程で

学校自体は終わっていた。


登校してたった2時間で、

もうこの学校の授業は

全て終わってしまった。


担任の後藤先生は、

いつものあの穏やかな笑顔で

挨拶を済ませると、

職員会議があるとかで

足早に教室を後にしていた。


体育館でのあの一件以来、

高橋くんが行動を

起こすことはなかった。


その事にちょっと

拍子抜けしてしまったけれど、

しつこく付きまとわれることが

ないお陰でいつもの生活を

送ることが出来た。


凛もそれにはホッと

胸を撫で下ろしているようで、

「何もなくって、良かったね」

とこぼれるような笑顔を見せた。


ウソタもまた、

今日まで私と距離を

置いているようだった。







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