[修正版]草食系彼氏

 だから、部活のみんなを責めたりはしない。怖いから、という理由は私にもよくわかる。私も、紗理奈ちゃんが怖くて、言えなかったのだから。その結果が、今なのだけれど。

 でもやっぱり、キツい時はキツい。部活中は、味方が本当に誰もいない状況に、一人きりなのだ。だから、放課後のあの時間がさらにかけがえの無いものになった。
 このクラスにいることが、私にとって世界で一番楽しい。みんなとふざけて笑い合えば、嫌がらせのことも忘れられた。

 一番辛いのが、休日だ。休日の部活ほどキツいものは無かった。味方のいない世界に、半日もいなければならないのだから。
 練習中も、一応はやるけれど、チームやペアに分かれるときは必ず一人取り残される。部活中にこっそり、一人で泣いたこともあった。

 でも、部活が終わったら来季に会える。来季の存在を励みに、私は休日の部活も休まず行った。
 ミーティングを終えるとすぐに玄関を出て、子供のようにわくわくと、来季が来るのを待った。

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