[修正版]草食系彼氏

 あれから、高は私によく話しかけてくるようになった。他愛もない話だけれど、喧嘩にならない会話をしたのは久しぶりだった。
 私は普通に話せるのだけれど、なぜか紗理奈ちゃんは高が苦手ならしい。今度は紗理奈ちゃんの方から、私を避けるようになった。嫌がらせも減ってきて、私も少し安心していた。

 しかしそれは、ある意味逆効果だったようだ。

「来季の次は高?」
「きもいって」

 クラスのみんながいないときの嫌がらせが、さらにひどくなった。この間もすれ違いざまに「男好き」なんて呼ばれているのが聞こえた。
 言い返そうかと思ったけれど、それが原因で悪化するのは嫌だし、なんだか馬鹿らしくてやめた。だから何を言われても無視して耐えた。部活は一人でも黙々と練習を続けた。

 でもやっぱり辛くて、来季を待たずにすぐに帰ることが続いた。来季の部活の終わる時間が遅くなって、紗理奈ちゃんに会う確率が高くなったからだ。知らない女子からの嫌がらせは頑張って我慢できるけど、紗理奈ちゃんからは、精神的にも辛すぎる。

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