[修正版]草食系彼氏

 そのことが陽菜にも伝わったようで、彼女も笑い出した。楽しくなって、私と陽菜はいつものようにふざけ始める。

「陽菜の意地っ張り!」
「紫苑こそ。紫苑はー泣ーき虫ーっ」
「変な歌作らないでよっ。吏人に言いつけてやる!陽菜は音痴の頑固者だって」
「大丈夫、もうバレてるから」
「バレてるの!?」

 そうして私と陽菜は、チャイムが鳴るまでずっと笑っていた。

 くだらなくたって、意地っ張りだって音痴だって頑固者だって、全然構わない。私は陽菜が大好きなのだと、強く気付かされた。同時に、陽菜も私のことが好きなのだと思った。

 それはとても、幸せなことだった。

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