泣き顔にキス


今日は少人数クラス用の小さな教室で時間をつぶす。

イスを贅沢に5つも使って横になっていた彼は、他愛のない話の途中で言った。



「アスカさん、チョコレートください」



いつも彼はあたしがチョコレートを持ってる前提で言ってくる。
いや、実際に持ってるんだけど。

ここでちょっとした問題が毎回起こる。



「…ブラック食べれないよね、レンくん」

「はい」

「じゃあ無理。持っててもあげれない」



あたしは鞄から出しかけたチョコレートを再びしまった。


< 5 / 31 >

この作品をシェア

pagetop