御曹司の秘書さんの日常◆

児島さんはすたすたとテラスに向かって歩く。
というより、もはや競歩だ。

武も、あわててテラスへとむかう
赤い絨毯の上を軽く走る。



「昴君!!」

カチャンと、軽い音がして
テラスへとつながる両開きのガラス窓があく。


「げ。児島さん。」





後から、ついてきた武はこの目の前の光景に
目を疑った。


「昴様…何やってるんですか・・・」

昴は、ネクタイを緩め
左手は彼女の白い背中に回し、
右手はちょうど彼女の太ももにかかってスカートをめくりあげそうだった。


「いいこと。」

くすっと笑うと、
いきなりあらわれた男二人にびっくりした彼女のほほに
ちゅっとキスをした。

そして、彼女に向けて
にっこりと極上の笑顔を振りまく。


「ごめんねぇ~。邪魔が来たから、
 これでおしまい。」

「え?あ・・・・はい・・・っ」

どこかの令嬢だろうか、サーモンピンクのドレスがよく似合う。
顔を赤くして、
児島と、武のそばをさっと小走りで過ぎ去っていく。


< 12 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop