ブルーの住人 

(二)

その村では、家人以外の者を入れての食事を一切とらない風習だということです。

その村特有の土着宗教から生まれたもので、人間の食に対する卑しさの戒めとされているとか。

人間の食に対する性は貪欲で業の深いものとし、憎悪の根源であると言う宗教なのです。

国の乱れというものは全て相互間の憎悪によるもので、決して末世だの崇りなどではない。

人間の為せる業のせい、と説いています。

それ故にその村では決して食事に互いを呼ぶこともなく、更には食事時に訪問することさえも悪い因習として、戒めています。

といって、村人間の行き来が無いわけではありません。

それどころか、頻繁に行き来をしています。

農作業やら森林管理やらを、共同作業で行う村なのです。

収穫については老若男女の分け隔てなく、人数割りでの分配方法を取っています。

原始共産主義のような村社会でしょうか。

またまた前置きのようになってしまいました。

お話を本筋に戻すことに致しましょう。

実は先ほどの老婆のことなのです、お話したいのは。
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