眠り姫【短編】

そんな瞬の口から出た言葉は、意外なものだった。

「ごめん、雪。」

涙なんかひっこんで、顔をあげると、瞬はとても苦しそうに微笑んだ。

「ごめん、雪。今の僕には、雪を元気づける時間もないんだ。もう…タイムリミットみたい。」

そう言う瞬の手の温度はどんどん下がっていって、ついにはボトンと私の頭から落ちた。
< 13 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop