その手の中に



「会わないと…いけませんか?」




私は俯いて




弱々しく答える。




「………会わないとだめ。」




どうして



どうしてこの人は




こんな事をいうんだろう。



少し顔をあげると



真剣なまっすぐな目で



わたしを見ていた。



「なんで……会わないといけないんですか。私は…………」




体が小刻みに震える。




あの時の鏡夜が




血まみれの鏡夜が




私の脳裏でフラッシュバックした。




「………思い出すのが………恐いんです。」




それを聞いてもなお



私を




揺るぎない目で見つめる。





そして、


私の肩を持ち




ゆっくり




こういった。






「逃げちゃだめ。」








 


















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