運命‐サダメ‐
彼の目は、今まで見たことがないような目をしていた。
愛しいものを見るかのように、優しかった。
だけどそれは、決して私を見ている訳じゃない。
私を通して、似ている千夏姉を見ている。
確かに私たち姉妹は、似ていた。
顔から、身体の特徴まで。
だから、彼がそうなるのも仕方がないこと。
私を見ていないと分かっているのに、この瞳から逃れられなかった。
瞳の奥で千夏姉を見ていようとも、私を真っ直ぐ見つめるその瞳から。