ガオ!!
噛んじゃうぞ!


気が付いた時には私の世界はゆらゆら揺れてい
た。

目を開ければ、そこは薄暗い住宅街。

そして私は誰かの背中におぶられていた。



あぁ、私会社の飲み会で酔い潰れたんだっけ。


この背中はいつもの彼の背中に違いない。

だってこの襟足を見ればわかる。



「ごめーん」

「あ、起きたか」

「うん。ごめーん。また飲み過ぎたー」

「お前は止め時ってもんを学習しろよ」



そう私を怒るのは高校で同級生だった、今では同僚の彼。

家が近いからという理由で毎回会社の皆に私を押し付けられて、嫌々こうしておぶって家まで送ってくれる。


そんな彼を私は密かに好きだったりする。


< 1 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop