記憶のキロク
「誓うよ。俺は――――」
 
 春風ちゃんが急に動かなくなった。

 いや、動いてはいる。全身を重力にゆだね、ベッドへと背を倒していく。

 それは、スローモーションのようにゆっくりとゆっくりと……

 倒れきる前に、春風ちゃんの身体を受け止めると、春風ちゃんは力なく、頭をたれた。

 辺りには、無機質な電子音が鳴り響いていたが、今の俺には、雑音とも感じなかった。

 音が無かった。

 光も無かった。

 景色も無かった。

 希望も絶望すら無かった。

 有るのは、春風ちゃんの亡骸だけ……
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