砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「姫、少しお時間を下さいますか?」

 抱き寄せていた手を離すと、さらさらと慣れた手つきでなにごとかしたため、紅い唇に指をあて、耳慣れない言葉を呟いてから、気を紙に送った。


 一瞬。
 黄昏の世界に青白い光が走る。


「これを枕元に置いて眠ると良い。貴女を護って差し上げます」

 龍星から紙を渡されそうになり、仔犬のような姫は目を丸くした。

「そんな、私――
 貴殿を殺そうとしたのに」

 かすれた声で、そう、呟く。

 ふわり、と、龍星が紅い唇を歪めた。
 美しいが冷たい、無表情の顔にほんの少し見せた笑顔に近い表情。


「無理ですよ。
 姫に私は殺せません」

「そうだとしても、私には受け取れません」

 駄々をこねる子どものように、護符を前に、毬は首を横に振る。


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