砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「龍星!
 やっぱり、今日は来てくれたね」

 御簾もかけずに帝が一人、部屋に居て無邪気に笑った。

「人払いしているから気にしなくていいよ。
 まぁ、龍星がそんなこと気にするとも思えないけど」

「……なんでしょう」

 龍星は表情を崩さず、真直ぐ帝を見る。
 帝はくすくす笑った。

「相変わらず冷静だね!
 そこがとても気に入っているんだけど。
 あ、その目。疑ってるでしょ?本当だよ、龍星に憧れてるんだ。
 だいぶ似てきたと想うんだけど、どう?」

「私には判断しかねます」

「そう?残念。

 でもね、龍星。大事なものは手放しちゃ駄目って教わらなかった?」
 
 帝の瞳が支配者の色を帯びる。
 龍星は表情を変えない。

 
 糸を張り詰めたような緊張感がそこに走る。
< 120 / 463 >

この作品をシェア

pagetop