砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「毬?」

 龍星が心配そうに名を呼ぶ。

「……勝手に、私の居場所変えないで」

 泣き出しそうな、祈るような擦れた声に、龍星は言葉を失い震える毬の身体を抱き締めた。

「また、途中で帰れっていうくらいならっ、最初から」

 言葉が続かず毬の瞳から涙が溢れる。


 ずきりと龍星の胸は痛み、指先でそっと頬を伝う涙を拭う。


 そして、形の良い唇を毬の耳に寄せそっと囁いた。


「ずっとここに居て欲しい」

「だって」


……次にまた辛い思いをするくらいなら、最初から一緒に居ない方が良い。



 毬はいやいやする子供のようにかぶりを振る。
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