砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
――嵐山


――蛍


――「緑丸」


 毬は今耳にした言葉を繋ぎあわせるが何も浮かんでこない。

 浮かぶのは、甘い草の匂いと温かい太陽の日差し。
 永遠に続くかのような、少年たちの愉しげな笑い声。


 深い霞の中からそっと手が伸びてきた。
 苦労を知らない滑らかな指。


『一緒に遊ぼう』


 今、耳にしたのは無邪気な、でも目一杯背伸びした少年の声?
 それとも、もう、知らないふりなど許されなくなった、大人のものなの?




「ねぇ、なんて名前?」


 毬の質問に、男は意味ありげな笑いを浮かべた。


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