砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 ふわり、と、毬は思わず笑みを溢す。

「勘違いですよ、きっと」

 龍星はついうっかり手のかかる子を抱え込んでしまって、うんざりしているに違いないのだ。
 時折気紛れに唇づけてはくれるけれど。

「なんと!そなたには自覚がないのか?」

 キツネが目を丸くする。

「よく分からないけど。人間違えよ。帰るわね」

 毬はゆっくり後ずさる。


「その結界から出ないのは賢明だ。
 賢いお嬢さんは嫌いではない。

 龍星にまた会う日までに腕をあげるよう伝えておけ」

 コーンとキツネがいななく。その声が緑の山にこだまし、薫風にさらわれた。


「あなたは龍星の敵なの?」


 毬がキツネに問う。

 キツネはにやりと笑いを残し、山の方へと駆けて行った。

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