砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
三の九
 いつもはただ静かな、寝るためだけのその部屋に、熱く湿った音が響く。

 
 一糸纏わぬ姿で、頬どころか体中を朱に染めて、毬は深い唇付けや優しい愛撫に身を委ねていた。自分でも聞きなれない甘い吐息や、我慢できずに漏れてくる嬌声に引きずられるかのようにさらに身体の熱が上がる。
 溢れ出す蜜を、龍星がその指で掬いわざとらしく目の前で、その艶やかな唇の中に含んで見せられ、恥ずかしさと緊張とその他ありとあらゆる感情がごちゃまぜになって瞳に溜まっていた涙が、頬を伝う。

「イかせてあげる」

 毬の涙を舌を這わせて拭った後、触れるだけの唇付けをすると、その指先で、毬の身体の一番敏感な部分に甘く這わせた。
 馴れない刺激に、いっそう強く声が漏れる。
 甘く熟れた叫び声が、掠れ、やがて疲れ果て寝息に変わるまで龍星は幾度も幾度も、毬を軽い絶頂にその指だけで導いた。









「最後までは、今は、出来ない」

 行為を始める前、まだ、夜着を着たままの状態で最初に断りを入れたのは龍星のほうだった。
 毬は首を傾げる。

「どうして?
 私がまだ、裳着もすませてない子供だから?」

 もっともな言い分に龍星は、心からの愛しさを微笑みに変えて口許に浮かべた。

「違うよ。
 それはね、どうしても気を交えることになるから。
 分かりやすく言うと、毬にももっと簡単に陰陽の力が使えるようになるってこと」

 年端もいかぬ子供に道理を説明する父親のように優しく諭す。

「それって、つまり、龍の力を奪っちゃうってこと?」

 心配げに寄せられる眉根に唇をあてながら

「違うよ、俺の力は減らない」

 と、教える。

「じゃあ、良いよ。
 奪わないんだったら平気。
 もう、あの誦を唱えなければいいんだわ。心配しないで」

 毬は、にこりと笑って軽い口調で答える。

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