砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 龍星は祈るような想いをこめて、その耳元で囁く。

「お願いだから、これ以上俺を怒らせないで、毬。
 傷つける気もないし、毬が役に立たないとも思ってない。
 でも、これ以上は来てはいけない。
 俺の言いたいこと、分かるよね?」

 頼むから、と。
 痛いほどの願いを込めて、龍星が告げた。

「どうして?私が……左大臣家の姫だから?」

 龍星は紅い唇で、ただ優しく微笑んだ。

「違うよ。俺が、毬のことを愛してるから」

 自分の力不足で、二度と傷つけたくないと。
 凄腕のはずの陰陽師が、潤んだ瞳でそう告げた。

 そっと、白い布に唇を当てる。

 耳元と、首元に。
 どうか、完治しますようにと神仏に願いを込めて。

 毬が無事で居てくれるなら、自分の命と引き換えにしても構わない、とまで龍星は思っている。
 心の底から。
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