砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「その前に帝もやってきた」

 やってきた、などという主語とは不釣合いの言い回しに一瞬雅之が顔をしかめる。
 が、当然、何も言わない。

 龍星は話を続けた。

「行家は寺に預ける。
 道剣は、島流し。
 そういう処分になるそうだ」

「そうか」

 雅之はほっとしたように、息を吐いた。

「これで、ますます左大臣家は栄えるな」

 浮かれた声ではなく、むしろ。
 落ち着いた口調で雅之が言う。

「ああ」

 龍星もまた、渋い表情で頷いて酒を啜る。

 これでまた、左大臣家を抑え付けるものが一つ無くなってしまった。
 何事にも、調和というものが大切なのだ。

 それが崩れるとまた、今回のような騒動を企てるものが現れてしまう。

「俺の父も右大臣の職を欲していたからな。
 今からまた、騒々しくなるのだろうな」

 雅之は、新たな厄介ごとの火種をを抱えたことを認め、酒を煽った。
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