エクスタシー・トレード

「こんな状況なのに、よくもまあ。呑気なものだな」

私の身体をベッドに倒して馬乗りになった男がそう口にする。

スプリングがギシッと軋んで、奴の体温が重く圧し掛かった。


「うるさいわね……。はやくすれば!」

落ち着かなくて、奴の見透かしたような双方の瞳から目を逸らした。


奴から逸らしたら負けなのに――。


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