ミックス・コーヒー
 貴之も尚樹も昼食がまだだった為、自然に三人で仲良く食卓を囲むという図になっていた。

 しかし、もちろん……特に貴之は、美葉の話に納得したわけではなかった。
「なんで美葉はそんな路上なんかにいたの?」

「そこが一番良い場所だったから」

「場所の問題じゃなくって、なんで浮浪者みたいな状態だったのって聞いてるんだけど」

「お金、持ってきた分はちょっとだったからすぐ無くなった。寒かったからとりあえずゴミ捨て場で拾った毛布着た。あと、ドブに嵌まったからちょっと汚れた」

「漫画か。いや、なんていうか、オレが聞きたいことはそういうことじゃなくて……」

 貴之が頭を掻きむしる。

 その脇で美葉が横に座っている尚樹を手招きで呼ぶ。
 尚樹の耳元で美葉が唇を動かす。
 尚樹が代弁する。

「貴之、うるさいってさ」
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