ミックス・コーヒー

いち、に。さん

   ①

 なんだか、妙に息苦しい。

 いや、息苦しいというより、体が動かない。
 まるで、金縛り(未体験だが)のような。

 金縛り……?



 貴之は恐る恐る、閉じていた瞼を上げる。

 すると、なんということだ。
 自分の胴体と掛け布団の間に、ボサボサの黒髪が見えた。

「座敷わらしィィィ!!」

 貴之が意味不明に叫びながら勢いよく飛び起きると、彼の体の上からごろん、と<人>が転がり落ちた。
 
 長い黒髪の女。

 頭の中で繰り広げられる、フラッシュバック。
 そして、フラッシュバック。
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