モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
三章

模様替え―凍夜

初夏が過ぎ、いよいよ暑さを
増していく夏の日の午後。

不思議なことに日中で一番
気温の上がる時間帯でも、
モントリヒト城の一部の部屋は
外の気温などまったく
感じさせない快適さを保っている。

自室の一番涼しい場所に置かれた
ロッキングチェアで読書をしながら
うとうととまどろむ凍夜の耳に、
派手に荷物が崩れる音が聞こえた。

音に反応して、目を開ける。

そのまま、黙って様子を伺えば、
パタパタとあわてた足音が
聞こえてきた。

「凍夜!大変大変!!」

顔色を変えて部屋に飛び込んで
きたのは予想通り姫乃だった。
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