モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

食事―姫乃

「!?んんっ!?」

突然、口をふさがれた姫乃は、自分に何が起こっているのか
理解するまで時間がかかった。

この部屋の主らしい男は、その口に含んだミルクを
遠慮なく姫乃の口に移そうとする。

「んーっ!!」

必死に抵抗してみるも、男はいっこうに離してくれそうにない。

抵抗しているうちに、姫乃のくるまっていた
シーツが落ちて、姫乃の全身が露わになったが、
男がそれを気にした様子もない。

そうこうしているうちに、口の中にずっと液体が
入っている状態が苦しくなって、姫乃は思わず
口移しされた液体を飲み込んだ。

こくり、と自分の喉の音が聞こえる。

男は、姫乃がきちんと飲みほしたのを確認すると、
ようやく唇を離した。

解放された姫乃は男の腕の中で大きく息を吐く。

そのまま、男から逃れようと腕に力を入れるより早く、
男が姫乃を抱えあげた。

「きゃあ!?」

姫乃の様子などお構いなしに、男は姫乃を抱えたまま
部屋の窓際へ移動する。

日差しのよく当たる場所に置かれた椅子にわけの
わからないまま姫乃が座らせられると、
少年が目の前の机に食事の乗ったトレイを置き、
いつのまにか拾ったシーツで姫乃の
身体をすっぽり隠してくれた。
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