モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「まぁ、さっきも言った通り、
わたしも本気で信じている
わけじゃないのよ。
でも、気休めでも、供養して
おけば祟られないっていうなら、
しておいたほうがいいじゃない?」

「…ですが、どうするのですか、
お嬢様。私たちには供養が
できません。」

黎明が困り顔で言うと、
天明も同意する。

「そうです。我々は教会に
入れませんし、マスターの
命令でお嬢様を城外に
お連れすることはできません。」

「…命令は玄関ホールと庭に
出しちゃいけない、でしょう?」

にっこりと、姫乃は笑う。

「モントリヒト城にはね、
秘密がいっぱいあるのよ。」

そういうと、姫乃は厨房の
かまどのすみのレンガの
ひとつを力いっぱい押し込んだ。
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