モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「森は、教会の裏の
小道を抜けてすぐです。」

「具体的にはどういう
状態なの。」

「入れない、というか
入っても出てきて
しまいますね。」

「そう…。森を調べるなら、
出入りしていた姫乃を
連れてくるのが一番はや…。」

教会の裏手に回ろうとした
凍夜は、言葉を切って
ノークスを制止した。

凍夜の後ろで立ち止まった
ノークスが、不審げに凍夜の
影からのぞき見る。

「!?なっ!!」

ノークスが驚きの
声をあげた。

凍夜も、その見覚えのある
後ろ姿を思わず凝視してしまう。

教会の裏口から森に向かって
走りぬける少女の姿は、
間違いなく姫乃のものだった。
< 146 / 726 >

この作品をシェア

pagetop