モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
だから、姫乃が
脱走する隙を
わざと残したのだ。

彼女なら、いずれ
従僕たちへの命令の
穴に気づくだろうと
見越して。

暇なときは、ひたすら
姫乃を観察していた
凍夜は、姫乃が厨房へ
初めて入ったときに、
しきりにかまどを
気にしていたことに
気づいた。

古い城には、何かしらの
隠し通路や仕掛けが
あると相場は決まっている。

姫乃がなぜモントリヒト城の
そういったものを知って
いるのかはわからないが、
ごく自然にノークスを
連れ出したなら、姫乃は
間違いなく動くだろう。

そして、姫乃は、凍夜の
期待を裏切ることなく、
こうしてあの城から
脱出して見せた。

ほほえましい姉妹の抱擁を、
凍夜は黙って見つめる。
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