モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
見えてきた自分の家に、
一目散に駆けこむ。

玄関の鍵をかけると、
安堵したためか、
急激なめまいと
息切れに襲われた。

こんなに激しい
運動をしたのは
初めてかもしれない。

そう思いながら、
しゃがみこんで息を
整えていると、目の前に
水の入ったコップが
差し出された。

「…。」

息を弾ませながら、
コップを持つ腕の先を
見れば、心配そうに
こちらを覗き込む
男の顔が見えた。

「…あ…はっ、あり…が…っ。」

「礼はけっこうですから、
まずは飲みなさい。」

命令口調ではあるが、
沙羅を気遣ってくれる
言葉に素直に従って
コップを受け取った。
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